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ロリでオタでも

旧名・ロリでオタでも早稲田を目指す

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ある陸上部員の性渇

・一章
ある陸上部員の性渇 一章『快走』①
ある陸上部員の性渇 一章『快走』②
ある陸上部員の性渇 一章『快走』③
ある陸上部員の性渇 一章『快走』④

・二章
ある陸上部員の性渇 二章『迷走』①
ある陸上部員の性渇 二章『迷走』②
ある陸上部員の性渇 二章『迷走』③


感想などありましたら、下のコメント欄にお願いします。
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| 小説(長編) | 21:51 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ある陸上部員の性渇 二章『迷走』③

 夏の部活というものは辛い。
 容赦ない日差し、いつにも増した練習量、嫌になるくらいの暑さ。とにかく人が運動をしたくなくなる要素を、ことごとく含んでいるのだから、当然だ。
 だが、それだけ辛いからこそ、それを終えたあとに獲る達成感と爽快感には、格別なものがあった。
 そして今日も俺は帰宅後、キンキンに冷えたアクエリアスを一気飲みする。
「ぷはっー!」
 1Lのペットボトルが忽ち空になる。
 ああ、こんなに美味しい物があって良いのだろうか。しかもこんな美味い物が200円もせずに、どこでだって買えてしまうのだ。
 この時が、16歳の俺にとって最も幸せを感じる時だと言っても過言ではない。
 俺は鼻歌交じりにシャワーを浴びに向かった。



 「ふぅー!」
 冷水のシャワーを頭から浴びる。
 今日の疲れも一緒に流れていくような感覚。某オリンピック選手風に言うとするならば、『ちょうきもT』
 まさにそんな感じである。
「僕が僕であるために勝ち続けなきゃならない~♪」
 そして歌う。尾崎豊は素晴らしい。
 魂を磨り減らすがごとく歌う尾崎豊の歌声は、本当に心を震わせる。
 特に『僕が僕であるために』という楽曲。勝ち続ける彼だからこそ書けたあの詞。それはまさに、尾崎のための曲であり、今の俺の歌だった。
「正しいものは何なのか~♪それーがこの胸にわか……ごほっ」
 蹴破られたドアが腰にクリーンヒットする。俺は思わず風呂場のタイルに倒れ込んだ。
「く……かな…手加減というものをお前は知らないのか……」
 ピッチャー強襲センター前ヒットよろしく、すさまじい一撃を食らった腰をさすりながら言う。
「あ、ご、ごめん。お兄ちゃんがいるとは思わなかったの……」
 見れば生まれたまんまのかなの姿。
 申し訳程度に膨らんだ胸に、美しい窪みを生んだ形の良いお臍、その下に佇むまだ毛の一本も生えていないヴィーナスの丘。
 それを少しも隠そうとせず、彼女は突っ立っていた。
「悪いな、かな。俺が上がるまで待っていてくれ」
「えー、ついでだから一緒に入ろうよぅ」
 そう言って、後ろからかなは俺に抱きつく。
 かなの小さく柔らかい手のひらが、俺の股間に微かに触れる。
「……この前お風呂はもう入らないと、約束しただろ」
 兄離れ政策は、もう最終段階へと入っていた。
 徐々に減らした兄との交流、具体的には風呂とベッド。それはつい先日0に設定されたのだ。
「でも、でもぉ。こうしてたまたま一緒になったんだもん。それくらいいじゃん!」
「良くない。そういうところから何でも綻んでいくのだぞ」
 いつもなら、少し強く言ってやればかなは退く。
 しかし、今日のかなはどうやら少し違う様子である。
「や、今日は絶対お兄ちゃんと入るんだもん」
 決意を込めたくりくりとした可愛らしい目。まっすぐ見つられれば見つめられるほど、その愛らしさから俺の意志は崩れていきそうだった。
「駄目だ。約束は約束なんだ」
「たまたま一緒になったから入っていけない、なんての決めてないもん。決めてないもん!」
 屁理屈。こうなるとガキは止められない。
 しかし、今日だけでも……では、いつまで立っても前に進めないのは事実だ。
「……わかった。今日は仕方がないな」
 迷った末、俺は了承した。
「ありがとっ!」
 かなの顔がほころぶ。こういうのを見せられると、どうしようもない。
 ただ妹のかなが笑っていれば充分ではないかと、思えてしまう。
「お兄ちゃん、身体洗ったげる」
「はぁ!?お前一緒に入ってたときだって、洗いっこなんてしなかったじゃないか」
「いいの♪いいのぉ♪今日はサービスしますぜ、お兄さん」
 そう言って、かなは俺を風呂椅子へと座らせる。
 背後に立つかなの気配を感じる。
「じゃあ、背中から洗いますね」
 何だか客商売のような声を上げながら、かなは俺の背中へと手を伸ばす。
 妙に温くて柔らかな手のひらが、背中を這っていく。彼女はタオルを使う気がないのか、手のひらで石けんを泡立てただひたすらおれの背中を撫で上げた。
 良い動きだと思った。洗われるのは、気持ちがいい。が、逆に気持ちが良すぎた。
 マズイ。
 気持ちよさに、肉棒が屹立してしまった。精一杯の存在の証明である。先輩と初めてセックスした時もそうだが、俺はすこぶる背中が弱いのだ。
「次、前行きますね」
「ま…」
 俺が言うより先にかなの手は俺の股間へと伸びてきた。まるでこうなることを、あらかじめ考えていたかのように。
 肉棒をピンポイントに、かなはその温い手のひらで包み込む。霧のような甘美な快感が頭を覆っていくのがわかる。
「かな、それを誰から教わった」
「結城ちゃん」
 またお前か!どこの誰かか存じ上げないが、会ったら是非とも説教しなければなるまい。
「お兄ちゃんが喜ぶ、って。そしたらまたかなと一緒にお風呂に入ったり、寝てくれるって」
「馬鹿!」
 俺は振り払うように立ち上がる。そして、俺はかなを一瞥してから風呂から出ていこうとした。
「待って!待ってよ!お兄ちゃん!」
 振り返れば、かなは股をM字に広げ、その性器のすべてを晒し座っていた。
 ぱっくりと割れた秘裂からは、まだ幼い単純な構造をしたひだがひっそりと佇んでいる。そのひだをかなは指で押し広げる。
 ひだの奥には未成熟であったが、しっかりとした『穴』があった。ペニスを受け入れるようできた性器が。
 俺は思わず釘付けになった。
 美しかったのだ。未熟ゆえの具象を凌駕した抽象的な美しさ。成熟した性器には決してないその美しさがそこにはあった。
「ほら、よく見てお兄ちゃん……」
 ゆっくりとかなはその割れ目に指を這わせる。
 俺は思わず生唾を飲み込んだ。
「くふぅ……あん…」
 空いたもう一つの手を幼い乳首へと這わせる。摘んだり、ピンと弾いたりするたびに、彼女は艶めかしい声を上げた。
 その乳首もどんどん屹立していくのがわかる。白い肌の上にちょこんと載ったそれは、まさに食べ頃の果実のようであった。
 そして、かなは秘裂を触っていた手を上部へと移動させていく。
 快感の塊である小さな小さな芽、それを彼女はつまみ上げた。
「ああんっ!あんっ!はあ!」
 おそらく快感が段違いなのだろう。さっきとは比べモノにならないほど、色っぽい声をかなは上げた。
「お兄ちゃん、おにいちゃぁん!」
 かなの上気した目が俺を捕らえる。そのあまりに艶めかしい顔に、俺の股間は測らずとも大きくなりそうだった。

ポチャリ

 突然頭の上に水滴が落ちた。
 冷たくも温かくもない水。刺激としては無いに等しいが、かなの痴態に釘付けになっていた俺の目を覚ますには充分だった。
 俺はかなの前に立ち、かなの両手を捕まえる。そして、かなの両目をジッと見据えた。
 かなの瞳には戸惑い、後悔、恐怖色々な感情が浮かんでいるように見えた。
「かな」
 目を離さず優しく諭すように言った。怒るのではなく、教えなくてはならないから。
「それは人に見せるような物じゃない。人はそれを見て喜ぶかもしれない、現にそれで飯を食べている人がいる。でもかなはそうなるべきじゃない。お前みたいないい子には、必ず幸せで美しい未来が待っているから、な?」
「……うん」
 加奈は今までやった事をすべてまとめて恥じらっているほどに、顔を赤くして小さく頷いた。
 それでも両目は俺を捉えていた。
 恥ずかしいが言わなければならない。
 俺がこの一言を言わなかったからこそ、かなは誤解し、健気にもこういう行為に走ってしまったのだから。
「今まで不安にさせて悪かったな。俺はかなのことが大好きだ。妹として、この世の誰よりも愛してる。だから、安心してくれ。どんな事があっても、俺はお前を嫌いになりはしないから」
 精一杯、今までの謝罪を込めて愛を目で訴えた。
「かなもお兄ちゃんのこと大好き」
 そう言ってかなは唇を合わせた。柔らかくて、甘酸っぱいキスだった。
「えへへ、初めてはお兄ちゃんって決めてたの。だから今しかないって思ったの」
 はにかむように笑いながら、かなは言った。 まったく嬉しくなるような事を言ってくれるものだ。
「ご、誤解すんなよ。あくまで妹として好きなだけなんだからな!」
 これを照れ隠しと言うのだろう。そう言ってから、俺はかなから視線を外した。

 ○

 長い夢を見ていた。夢にしては珍しく恐いほど鮮明な物だった。
「もうすぐで着きますね」
 外は雨が止み、朝の優しい光が道を照らしていた。
 所々に水たまりができ、光を浴びて鏡のように周りの景色を反射している。
 目が霞む。いつのまにか涙が目に滲んでいた。
 俺は妹を殺した。彼女にあるはずだった美しい未来も希望も夢もすべてを潰してしまった。
 それも一時の直情的な感情で、そんなちっぽけな物で。
 どうしようもない。そんな大きな物を小さな理由で潰してしまったのだから。とても責任を取れるものじゃなかった。
「予報では今日も雨なんですけどね」
 結局妹じゃなく、俺が変わってしまっていたのだ。俺は妹が好きだった優しくまじめで誠実な兄ではなくなってしまった。
 だから妹は俺から離れた。そしてどこかでまた自分の好きだった兄に戻ることを願っていたに違いない。
「引き返してくれ」
「へ?」
「いいから引き返してくれ」
「もうすぐそこですよ」
 運転手は前方を指差す。
 堂々と連なる山々が見える。深い山だ、あそこに捨てに行けばおそらく到底見つからないだろう。
「自首する」
「……そうですか」
 運転手は小さく笑った。彼にも人の心はあるようだ。
「引き返すんですね?」
「ああ。できるところまでな」
「大変な道になるでしょうが、頑張ってくださいね」
 運転手はハンドルを切り、車をUターンさせた。
 そう、引き返すんだ、妹が好きだった頃の兄に。それが妹の願いであるのなら。
「やってやるさ」
 涙が頬を伝い口の中に落ちた。柔らかくて甘酸っぱい味がした。

| 小説(長編) | 21:40 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ある陸上部員の性渇 二章『迷走』①

 俺は今をときめく職業ニート。
 理由は多々あるだろうが、簡単にいってしまえば社会が俺を爪弾きにしたのだ。
 俺は高校二年の時点で国体に出場し、初出場でありながら準優勝を獲た。いわば、将来有望の選手であったと言える。
 雑誌の取材も16歳のガキが調子に乗るには、充分なだけの量を受けた。
 しかし、いくら調子に乗ろうとも、天狗になるだけの実力が伴っていた。
 だから、恐いモノなど何もなかった。俺は走ってさえいれば、無条件に社会から認められることができたのだ。
 学校では誰もが俺を羨み、高校陸上界ではまさにスター、そして家庭では自慢の息子であり、兄。
 来年の国体の優勝は間違いなく俺であり、大学進学も有名私立から引っ張りだこ、となるはずだった。
 が、
 考えてみれば、おかしなものだと思う。俺は怪我をしただけなのだ。
 それなのに、社会は俺を必要としなくなった。
 そしてすっかり消えてしまった。雑誌の取材も、大学の推薦も、人からの羨望も、将来の希望も何もかも。
 代わりに与えられたのは、軽い哀れみと慰めのみ。
 そして、俺はその時初めて気がついたのだ。
 走ってさえいれば、無条件に社会から認められた俺は、走っていなければ何てことのないただの人であった、と。
 それでも俺の周りには仲間がいた、何て言えばそれはそれで良い美談になるモノなのだが。
 残念ながら、俺はそんな素晴らしい仲間を持ち合わせていなかった。
 理由などはわからない。しかし、原因があるとすれば彼らにあるのだろう。俺自身に理由がないのだから、当然である。
180度変わってしまった世界で、唯一支えになったのは家族……これまた美談!失笑!失笑!
 父や母は触らぬ神に祟りなし、との姿勢。飯以外、いや飯ですら俺と顔を合わせようとしない。
 妹はと言えば……あまりに悲しすぎて言葉もない。過去あれほど懐いていたと言うのに、父や母、いやそれ以上に俺を疎んじている。
 食事を共にするのは極力避け、顔も合わせようとしない。まるで、俺が自身がそこに存在しないかのような扱い。
 これが、3年前と同じ妹と思えようか!
 なかなか人生とは面白いものだと思う。たった一度の失敗でここまで、転げ落ちてしまうとは、社会とは、人間とは、何と冷淡なのだろう!



 それは蒸し暑い夏の夜だった。
 深夜の2時を過ぎた頃、俺はいつもの通り妹の部屋へと向かっていた。
 寝ている妹をオカズに自慰に耽るためである。

 トントン

 いつも通りのノック。すっかり寝入った妹はそれに反応することはない。
「……」
 何の反応もないのを確認して、俺は妹の部屋へと足を踏み入れる。
 学習机に男性アイドルのポスターに漫画ばかりの本棚。典型的な女子中学生の部屋である。
 ベッドの上で静かに寝息を立てる妹を確認してから、後ろ手に鍵を閉める。
「さて今日もいただくとしますか」
 思わず漏れる独り言。引き籠もってからというもの、自分でもびっくりするほど独り言が増えていた。
 妹のベッドの端に腰を下ろし、ゆっくりとその布団を剥いでいく。
 風呂に入ったばかりだからか、石けんの心地よい匂いが鼻を撫でていく。
「ちっ!またいやがる……邪魔だなぁ」
 布団を剥いだ先に黄色い優顔をした熊のぬいぐるみがあった。
 コイツはどうやら、妹のお気に入りらしい。
 毎回毎回、必ずと言って良いほど傍らに置いてあるか、抱き締めているかしている。
 まったく、中学生にもなってぬいぐるみ遊びが卒業できないとは、困ったモノである。
 ちょっとした苛立ちを込めて、俺はそのぬいぐるみを部屋の隅へとぶん投げた。
「ぐふ」
 そうは言っても、妹の青いパジャマ姿には笑みが零れる。俺は妹がいるだけマシだったと言える。
 いざとなれば、いつだってこうしてオカズが手に入る環境にあるのだ。
 しかもそれが、実の妹ながらなかなかの上玉。
 特にその小動物を思わせるくりくりとした目と、すらりと伸びた黒髪がたまらない。
「相変わらずいい髪だ」
 髪を漉くように撫でていく。枝毛のまったくないまっすぐ美しい髪は、しっとりと手に馴染む。
「んっ…う」
 くすぐったそうに妹は顔を綻ばせる。こういう表情の中にはまだ、あの懐いていた時期を思わせるところがある。
「目を覚まされても困るしな」
 早速俺は『作業』に入ることにした。無論、鑑賞するための作業である。
 妹のパジャマのボタンを手早く外していく。
「寝るときブラを付けないのは、相変わらずか」
 ボタンを外し終えると、幼さの残る淡い膨らみが露わになる。白い肌の上にちょこんと咲くピンク色の頂は、惚れ惚れとするほどの美しさがあった。
 それはまるで食べ物のように、俺の涎を誘ってくる。
 俺は思わずその胸に舌を這わす。この程度ならば起きない保証は充分あった。
「じゅる……へへぇ」
 一舐め、二舐めするごとにその頂は固さを増していく。寝ていて意識がないと言うのに、身体と言うヤツは反応してしまうらしい。
「んぅ…ん」
 軽い喘ぎ。これ以上やると起きてしまいそうなので、俺は乳首から舌を離した。
 今度はパジャマのズボンへと手を伸ばす。
 ゆっくりと下ろしていくと、リボンのついた純白のパンツが露わになった。部屋が暗いせいか、その白さはまるで輝いているようにも見える。
「あと一枚、あと一枚。くくっ」
 わけのわからない囃子文句を呟きながら、最後の砦に手を掛ける。
 パンツを下ろした先に、なだらかな丘の上に生えるうっすらと茂る芝生が目に飛び込んでくる。
 それは意図せずに感嘆の溜め息が出てしまいそうなほど、美しい秘部だった。
 芝生の下へ下へと視線を移せば、まだ成熟を迎えていない未発達な秘裂がほとんど隠されることなく顔を出している。まさに中学生、未熟なサンクチュアリである。
「いつ見ても綺麗なま○こだな」
 ただ生え揃っていないのが、少しばかり惜しい。
 それをまた未熟な美と取る人間もいるのかもしれないが、生憎俺はそれをベストとは捕らえない。
 しばらくその美しさを堪能してから、ふと考えた。
 どうするか。
 普段であればこの姿をオカズに自慰に耽るわけだが、さすがに毎回同じでは芸がない気もする。
「どうせバレはしないだろう」
 乳首をある程度舐めても、目が覚めなかったわけだ。
 冒険は可能ではないか。
「大丈夫、大丈夫」
 自分を安心させるかのように呟いてから、俺は妹の秘部へと顔を近づけた。
 少女独特の甘い匂いがする。もう、我が妹も女になりつつあるらしい。
 ほとんど毛の生えていない辺りを、そっと触れてみる。そして、恐る恐るその秘裂に指も入れてみる。
 何とも言えない感触を指先が伝えてくる。 これこそ、ここ数年触れることもなかった大陰唇の感触。
 俺はじっくり味わうように、ゆっくりと指を動かした。
「んふぅ……あぅん」
 どこか寝息にも聞こえる軽い微かな喘ぎ。
 俺はもっと踏み込めることを確信した。
 顔をさらに寄せて、秘裂に舌を這わせる。 口元に当たる微かな毛の感触がこそばゆかった。
「んんっ!」
 舌を秘裂に滑り込ませ、あふれ出る甘露を味わう。
 そして、舌を抜き差しさせてやる。
「あんっ!……あん!」
 久しぶりの甘露の味に頭まで麻痺しそうだった。
 いや、間違いなく麻痺していた。
 俺は無謀にも秘裂の上部の芽に舌を出した。 陰核、クリトリス……女性が性交渉を楽しむためだけに特化した組織。
 油断。俺は完全に油断していたと言える。 頭の片隅にもそんな事を考えている余裕がなかった。
「お、お兄ちゃん……?」
それはたしかに寝ているはずの妹の声だった。
 俺はおそるおそる声の方向を見る。
 そこには恥ずかしげに胸を隠し、今にも泣きそうな妹の顔があった。
 ああ、そうか。
 ようやく状況が飲み込めた。今、俺は妹に夜の痴態をみつかってしまって、その妹の顔は今にも泣き出しそうで……

 飲み込めてしまえば、何と言うこともない

 やることは決まっている。
 かなが叫び出すことなく、呆然としてしまっているのは好都合だった。
 枕元の電気スタンドのコードを引き抜く。 恐怖に染まる妹の顔。直感で何をされるかがわかったのだろう。
しかし

 もう遅い。

 妹が叫び出すより早く、電気コードを首へと回す。じたばた暴れる手足、しかし、それは階下にいる両親に聞こえるほどのものではない。
 渾身の力を込めて、じりじりと締め上げる強さを増していく。

 そして、妹は動かなくなった。
 舌はだらりと力無くはみ出して、見開かれた目からはすでに生気が消えている。
 死んだのだ。妹は殺された、他でもない俺によって、口封じのために。
「命ってヤツも軽いなぁ」
 こんなにも簡単になくなってしまうモノだとは思わなかった。
 たった電気コードと3分間。実にあっけない。
 しかし、どうしようか。
 殺したことは仕方がない。両親にバレないためには、コレしか方法がなかったのだから仕方がないと諦めるとしよう。
 問題はこの死体の処理である。
 王道に山に捨てに行くか、それとも海に捨てていくか。どのみち、この部屋にいつまでも置いていくわけにはいかないのは確かだ。
「うーむ」
 顎に手を当て頭を捻る。そうして、死体を眺めると、当たり前のことだがソレが裸であることがわかった。
 透き通るほどに白い肌は死んだせいか、さらに儚くなり、その美しさを増したように思われる。
 思わず股間がムクムクと隆起する。
 そして、さらに当たり前の事実に気が付いた。
 妹は死んでいるのである。
 声も上げることもなければ、抵抗をすることもない。つまり何でもやり放題。
 やれるのだ。久しぶりに。女の身体を抱けるのだ。何をするにも、すべて俺の思い通りなのだ。
「くくっ」
 今まで何と遠回りな事をしていたのだろう。
 自慰などに耽ることなく、こうして殺してしまえば、簡単にセックスすることができたのだ。
「まあ、やってからでも遅くはないな」
 俺はズボンを脱ぎ捨て、肉棒を露出させた。
 久しぶりに鞘に収まることのできる俺の刀は、これまでにないくらい勃起している。
「もう入れたっていいよな」
 股を開いてやると濡れていた。
 愛液とかではなく……排泄物で。
 おそらく首を絞めた時に、うっかり出てしまったのだろう。
「ったく……めんどくさいな」
 手近にあるタオルをかなの股間に宛う。じっくり何度も何度も秘裂を上下させる。
 むわり、とむせ返るようなアンモニア臭が鼻を突くが、不快ではない。何か上質な花の匂いに似ている気さえする。
 しっかりふき取った後、その下の尻にもタオルを這わせる。もう一つの排泄物があるのだ。
 もちろん、そんな俺の動作に妹は何の反応も示さない。
 少し汚さは残るが、これで何とかできるだろう。
「世話がかかるな、もう」
 M字に開脚した股間からは、眩いばかりのサーモンピンクが覗いている。
 ここまで綺麗なのだ、妹はきっと処女なのだろう。そして、それを今、実の兄である俺が奪うのだ。
 何とも言えない背徳感が俺の興奮に拍車をかける。
 そんな感情に背中を押されるようにして、ためらうことなく、俺は剥き出しになった膣口に肉棒を埋めていった。
「くふぅ……」
 あまりに強いその締め付けは、入れただけで射精しそうなほどだった。
そして、意外にも温かかった。ぬくりと俺のすべてをかなの秘部は受け入れていく。
「はぁふぅ」
 ゆっくりと慣らすように腰を進める。
 潤滑油である愛液が足りないせいか、膣の中はざらざらとしている。
 そのためにあまりスムーズに動くこともできない。
 でも、それはむしろ好都合だった。締め付けの強い妹の膣は、少し動いただけでイキそうになってしまうのだ。不自由なくらいがちょぅどいいと言える。
「くふぅ…はぁ」
 俺の喘ぎ声だけが部屋に響く。
 死んだかなは決して喘ぐこともない。ただその身体だけを俺に差し出しているのだ。
 そんなぐったりとした彼女の顔に一瞥を加えると、何だかとても気分が良くなった。
 何でもできる。アナルで犯すことも、膣が壊れてしまうほど犯すことも、何だってできる。
 このことに気分を悪くする人はいるだろうか。
 いないに違いない。何だって自由にできることを、みんな誰だって望んでいるのだ。
「はぁはぁ」
 不意に目に止まった乳首に舌を這わせる。 しかし勃起のしてない乳首はとても味気ないモノだった。
 舌でその感触を楽しむが、張り合いがない。
苛立った俺は思い切り歯を立てた。

がりっ

 口の中に鉄の味が広がる。
 どうやら乳首を噛み切ってしまったらしい。 でも、妹はそんなことをした俺に、文句の一つも言わない。
 それはますます俺の気分を良くした。
 自由なんだ、と。何をしても大丈夫なんだと、俺を安心させた。
「はぁ、はぁうぁふぁ……」
 腰を激しく突き動かしていく。肉棒がざらざらとした膣の内壁で擦れていく。
 無抵抗なかなの顔が、その動きに合わせて上下に揺れる。
 甘い快感が脳を犯していく。股間に神経が集中していくのがわかる。
 快感の波が寄せては返す。そして、その波は寄せて返すたびに強くなっていく。
「イク!イクぞ、かな!」
「……」
 もちろん返事はなく、俺は一人でかなの中で果てた。
「ふぅはぁ…」
 肉棒を妹の股間から抜き去ると、かなの股間から血が滴った。
 どうやら予想通り、妹は処女であったらしい。
「気持ちよかったぞ、かな。次は何をしようか」
 物言わぬ妹に語りかける。
 血に濡れた彼女の秘部をふき取ってやり、しばらく俺は思案した。
 時間はまだ2時。たしかに、まだまだ夜明けまでには時間はあるが、そうもゆっくりはしていられない。
「警察に捕まってはもともこうもないよな」
 名残惜しくも、俺は妹を捨てに行くことにした。
 急いで自分の部屋に戻り、かなり大きめの旅行鞄を持ってくる。
「ちっ……」
 そのままでは入らないので、ベッドの上で身体を丸めさせた。
 膝を胸にくっつけるようにして、そこで紐で身体全体を縛ってやる。
 するとようやく幾分妹はコンパクトになり、何とか鞄に入るくらいになった。
 最後に優しく股間を愛撫してやってからチャックを閉め、妹の死体ととりあえずの別れを告げる。
 山で時間があれば、もう一度でも二度でも妹とやればいい。

| 小説(長編) | 21:37 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ある陸上部員の性渇 一章『快走』④

 遅い時間に帰ってきたため、リビングにあるのは空っぽの器と一枚のメモが置いてあった。
『温めて食べてください』
 よく見れば、そこには器が二つある。どうやら親父もまだ帰ってきてないらしい。
 キッチンに向い、鍋に火を入れカレーを温める。食欲をそそる匂いが鼻を撫で、俺は思わずごくりと唾を飲み込んだ。
 それにしても。
 親父はいつもこうして一人で飯を温めて食べているのだろうか。
 そんなに働いて、彼は何を得られるというのだろう。俺の得るような勝利の喜びなど、退屈なデスクワークにあるとは到底思えない。
 家族を養うこととは、そんなにも幸せなことなのだろうか。身を粉にしてまで、得る価値があるのだろうか。
「お、今日はけいすけも遅いな」
 背後の声に俺は瞬時に振り向いた。
「どうした?そんなに驚いて」
 親父が疲れた笑みを浮かべながら立っていた。
 どうやら考えすぎたのか、疲れているのかして、親父が帰ってきたことに気が付かなかったらしい。
「別に。なあ、カレーはどのくらい食うんだ?」
 何だか素直に答えるのが照れくさく、ついぶっきらぼうに言ってしまう。
「そうだなぁ。けいすけの半分くらいでいいぞ」
「ん」
 リビングに二人分のカレーを持っていき、向かい合って飯を食う。
 久しぶりに、こうして同じ食卓で食べるというのに、会話は弾まない。弾まないどころか、思い沈黙が漂っている。
 話すことがないわけではないが、口を開こうとすると言葉が乾いていってしまう。
 そんなことを繰り返している内に、親父は不意に何かを思い出したように言った。
「そういえば、国体決まったらしいな。おめでとう、けいすけ」
「ありがと」
 もっと会話を弾ませることは出来ないものか、と自分自身に問いつめたくなる。
 下手に近しい人間とは逆にコミュニケーションが取りづらい。
「お父さんもそんくらいの頃が一番楽しかったなぁ」
「ふーん」
 どこの三流ドラマだと思いつつ、少し興味を持ったふうに聞いてやる。
「こう見えて学生時代は、すんげーバリバリのサッカー選手だったんだぞ。芝生の上の野人と言われてな、ピッチの上じゃ俺に抜けない物はなかった」
 そう言って遠い目をする。
 ああ、親父にもそういう時期があったのかと、俺は当たり前の事に関心した。
 輝かしい時代の事など伺えないほどに、彼は疲れて見えてしまうから。
「女の子ともいっぱい付き合ったし、みんなみんな世界が輝いて見えてたなぁ。でも、悲しきかな、そういうのは早々長くは続かないもんで」
「もんで?」
「怪我をしてパーだよ。スポーツって言うのはそういうとこが恐いよな。身体を壊したらそれで終わりなんだから」
「……つまり何が言いたい?」
 ほんの少しムッとする。
 こっちが国体に出られる喜んでいる時に、怪我したら、なんて話をされてしまうのだ。気分が良いわけがない。
「大事なのは上手くいかなくなった時だってことだよ。まあ、今何言ったってわからないだろうがね」
「……わかるかよ。ったく気分悪いな」
「まあ、そう言うな。年長者の助言には耳を傾けておくもんだぞ」
 損をしたと思った。わざわざ聞いてやって損をした。
 小賢しい説教を好んで聞く馬鹿は、どこにもいない。
 俺は苛立たしげにカレーをかき込む。口で文句を言わない変わりに、カレーに当たってやった。
「一番悪いことは上手く行かなくなったとき、他人や社会のせいにすることだな。大抵は原因は周りが変わってしまったというより、自分自身が変わったことにあるんだからな」
 食い終わったら、目もくれずリビングを飛び出す。つまらない説教など忘れ、さっさと寝てしまいたかった。
 薄暗い廊下の床がやけに冷たい。



 疲れた身体を布団に滑り込ませると、すでにそこには先客がいた。
 ふわりとしたシャンプーの香りに、少女特有の甘い匂いがする。
 無論、かなである。
「ううん…」
 布団に入って動いたためか、かなは眠たそうに声を上げる。
 どうやら起こしてしまったらしい。
「今日はこっちで寝る日か?」
「んーでもぉ、お兄ちゃん全然一緒にいてくれなかったよ?」
「それでもカウントするからな」
 かなはううん、と不服そうに唸る。
「嫌ぁ。だってだって、これじゃあお兄ちゃんと一緒に寝た気がしないもん」
「だったらどうすればいい?」
「キスしてキス」
 暗闇でもわかるほどの満面の笑み。
 そして、俺の胸板へと頬ずりをしてくる。 そんなことしたって、キスなどできるわけがないのに。
「……あのなぁ、俺らは兄妹なんだぞ?キスする兄妹なんているか?お前の周りに」
「いないけど……いないなら、なれば良いんだよ!」
「寝る。おやすみ」
「駄目だよ、寝る前にキスしてよぉ、お兄ちゃん」
 背中を向けて無視を決め込む。
 それでも、かなはしつこく言い寄ってくる。 この年になっても、こんなに仲の良い兄妹は珍しいのかもしれない。
 たしかに、こんなに妹に好かれることは嬉しくないわけではない。でも、やっぱりこれからの事を考えれば、もう少し距離を開かなくては、と思うのだ。
 それにキスなんて……。やはりそれは踏み込みすぎである。
「もぉ、話も聞いてくれないなんて酷いよ!こうなったら……えいっ!」
 右手が持っていかれる。あまりに不意を付かれたので、抵抗もできない。
 そして、その手は……何とも言えない柔らかな物体を掴んでいた。
 しばらくして、パジャマから伝わる感触から、それが何であるかがつかめてきた。
 まだ、若干固さの残るそれは間違いなく……
「お兄ちゃん、喜んでくれた?かなの……かなのおっぱいだよ」
「……誰からこういう変な事教わったんだ?」
「え?結城ちゃんからだよ。きっとお兄ちゃん喜ぶだろうって」
「俺はどこの変態シスコン兄貴だよ!ったく……」
 不機嫌に手を引き抜く。妹の弱い力では、俺の腕一本も押さえられはしないのだ。
「そんなことばかりやると……もう寝てやらないぞ?」
「ごめんなさい」
 しゅん、と発した言葉に俺の胸までシュンとなる。甘い兄だなぁ、とつくづく感じながらも、俺はあえて慰めの言葉を掛けてやることはしなかった。
 いくら可哀想だと思っても、突き放さなければならない。そうでなければ、いつまでたっても『兄離れ』はできやしないのだ。
 しばらくして、すすり泣く声が聞こえ始めた気がした。が、すぐに俺の意識は甘い眠気に流されていった。



 誰もいない通学路を俺は颯爽と歩いていく。
 遅刻している。間違いなく、昨日の就寝時間がいつもよりかなり遅かったせいである。
「ふをぁぁ」
 思わずあくびが出るも、だからといって時間が遡るわけじゃない。むしろ、睡眠不足による気怠さが増すだけだ。
 ようやく学校に着き時計を見れば、始業からすでに30分たっていた。
 諦めと同時に、どっと眠気が押し寄せるのがわかる。
 いいや。一時間目くらいサボろう。
 だから、そう思ってしまうのは至極当然なのだ。別に俺が自堕落になったわけでも何でもない。



 屋上から見る景色はお世辞にも美しいとは言えない。
 そこから見えるのは、神々しい山でもなくエメラルドブルーに輝く海でもない。混沌を絵にしたかのように薄汚いコンクリートジャングルのみだ。
 それでも屋上に来てしまうのは、時間を潰す場所がここにしかないのと、そして空が近いからである。
 ごろんと寝転がれば、初夏の日差しが容赦なく俺の目を射抜いてくる。それを遮るように手のひらを翳すと、ようやっと空の青を拝むことができた。
 空は手を伸ばせば届きそうでもあり、どこまでも果てしなく遠い。
「ふをぁぁ」
 あくびがもう一つ出る。
 昨日危うくサボりそうになった時は、たしかに罪悪感など沸いた。しかし、今は不思議なほどそんな感情は沸いてこなかった。
 サボりというのは、1回済ませてしまえば悪い意味で気が楽になる。などとサボり症の友人が言っていたが、どうやら本当らしい。
 いや、何でも同じなのかもしれない。気が楽になりそれをどうとも思わなくなり、それはどんどんエスカレートし……
 俺は考えるのをやめた。眠気にはどうやったって逆らえはしない。
 日陰に戻り、俺は横になった。



「いい天気だねー」
「そうですね。まさに洗濯日和ですね」
「ごめんね、かおるちゃん。こんな事手伝わせちゃって」
「いいんですよ。先輩にはいつもお世話になってるんですから」
「ううっ……なんてよい子なの、かおるちゃん」
 そんなかおると先輩の会話で、俺は目が覚めた。
 二人がこうして洗濯物を屋上に干しに来るとは、寝入ってしまって、昼休みにでもなってしまったのだろう。
 しかし、二人はまだ屋上の隅の日陰で寝てる俺には気づいていないようである。
 まだ眠気にしがみついていたい俺にとっては、むしろ好都合だった。
「な、何するんですか!先輩っ!」
「何って、スカート捲りだよ」
「そんな当然のことのように言わないでください!」
 俺は思わず耳をそばだてた。
 心なしか、百合の花の香りを感じるのは、男として至極当然の思考であると思う。
「目の前に可愛い子のスカートがあって捲られないのは失礼でしょ」
「そんな事言ったら……って、先輩駄目ですってばぁ、揉まないでください!」
「ああ、この適度な固さと柔らかさ……気持ちいいなぁ」
「ひゃん……先輩、そこはホントに駄目ですってばぁ」
 何をやっているのだろう……
 俺は盗みみたい欲に駆られる。しかし、この見えない位置から顔を出せば、間違いなく二人に気づかれてしまう。
 よく聞こえるようにと、じりじりと俺は位置を移動させていく。
「本当に形も感触も良いお尻だよねぇ」
「せ…んぱい……外ではそういうことやらないって、言ったじゃないですか。シャワー室とか更衣室だけだって」
「誰もいないから大丈夫だよ。ちゃんと鍵も閉めてあるし」
 ところがどっこいいるんだなぁ、俺が。
「んっあっ……!もうそこお尻じゃないですって!」
「んふふぅ、相変わらずほとんど何も生えてないんだねぇ」
「やめくだ……あんっ!駄目ですって、やめっ!どうして」
 俺は欲望に負け、顔を出した。
 こっちを向いていた先輩の顔が妖艶に微笑み、対照的にかおるは絶望的な顔になる。
「何だぁ、けいすけ君そんなとこにいたんだ」
「すんません、ずっと聞いてました」
「ふふっ♪もうっエッチだなぁ、けいすけ君も」
「先輩っ!離してくださいっ!」
 俺に見られているという恥辱に耐えられなくなったのか、かおるは先輩の腕を振り払おうとする。
 先輩は意外にも、あっけなくかおるの身体を放した。
「って、あれ?」
 かおるも拍子抜けしたようで、呆然と突っ立っている。
「かおるちゃんがそんなに嫌がるならいいよ。私はけいすけ君と楽しむから」
「そ、それは駄目です!」
「どうして?」
「それは……その……」
 と、助け船をこうような視線を俺に向けてくる。
 昨日の事があるんだからはっきり言えよ、と彼女は言いたいのだろう。
 しかし、生憎俺は先輩との関係も持ってしまっている。
 いわば修羅場である。逃げようもない袋小路。
「どうせけいすけ君、昨日かおるちゃんとえっちぃ事したんでしょ?」
 不意に先輩は俺の耳元で囁く。
「な、何で先輩知ってるんですか!」
 驚く他はない。あのシャワールームには、たしかに俺とかおる以外いなかったわけだから。
「だってシャワー故障してて、同じシャワーを多感な高校生が使うんだもの。そういうことが起きない事が不思議でしょ?」
「先輩は何でもお見通しですか……」
「ふふぅ、でもどんなことしたかまではわからないけどね」
 そう妖艶に微笑みながら、先輩は官能的な手つきで、俺の顔を撫で上げてくる。
 やるか、やらないか。
 選択は2つ。いや1つか。もう俺の頭は一昨日見た先輩の裸体でいっぱいなのだ。いくら、かおるがいようとも選択肢は一つに絞られてしまう。
 それだけじゃない、先輩の膣の締め付け具合、肌の柔らかさ……想像しただけで下半身が膨らんでいくのがよくわかる。
「ちょっと待ってください!先輩」
 かおるの声に、思わず先輩は制服のボタンに掛けた手を止める。
「駄目です。けいすけは……けいすけは私のです!せ、先輩には渡しませんからっ!」
 かおるは走って先輩の手を俺から外す。
 かおるにしては思い切った行動だが、それで先輩が引き下がるとは思えない。
「かおるちゃんは、けいすけ君の彼女かなにかなの?」
「え?……いえ違います」
「だったら、かおるちゃんの所有物でも何でもないんじゃないかな?」
 ニヤニヤァとSっ気満々の笑顔。
 そんな笑顔にかおるは、悔しそうに唇を噛んでいる。
 しかし、その直後起死回生の一手が閃いたかのごとく、かおるは満面の笑みを浮かべた。
「でも、先輩。私にはアドバンテージがありますよ?」
「何?」
 崩れぬ自信に溢れた笑み。
 ああ、俺はもうわかっている。
 かおるは昨日の事を言おうと思っているのだ。
 彼女ではないけど、性行為はしましたよ、と。
 かおるは知らないのだ、それ以前に俺と先輩が関係を持っていることを。
 案の定、かおるは俺の方を振り返り、勝利に満ちた表情で頷いた。その顔はこれ以上ないくらいに真っ赤である。
 自分から性行為を公表するなど、恥辱の極みだろう。それも尚更、かおるのような女の子にとっては。
「私は彼女じゃないですけど、けいすけとそういう行為をしましたよ」
「そういう行為って?」
「そ、そういう行為はそういう行為です」
 目をギュッと瞑り、かおるは恥ずかしさに耐えている。
 何というのか、そういう表情は非常に興奮するものがある。
「キス?ハグ?」
 心底楽しそうな笑顔で先輩は、かおるの顔を覗き込んでいる。
 先輩のような人間にとっては、かおるのような子は溜まらないのだろう。
 俺だって彼女をからかうことに、一種の楽しさを感じるのだから、Sな先輩なら尚更だ。
「違います。もっと激しいのです!せ、せせせセックスです!」
「セックス、ふーんセックスねぇ。ふふっ、ねえけいすけ君、どうしよっか?」
「先輩も人が悪いですね……あんまり隠し事も良くないですし、言ってしまいましょうよ」
「潔いね、そういうところは。ふふっ」
 不思議そうな顔でかおるは、俺と先輩を交互に眺めている。
「かおるちゃん。実は私もけいすけ君とセックスしてるの」
 目が点。そして、再び俺と先輩を眺め、それを三回ほど繰り返した後、不意に俺の目で止まる。
 瞳は怒りで震えている。悲しさとかではなく、ただ純粋な怒り。
 俺はおかしな話だが、ホッと息をついてしまった。なぜって、ここで泣かれるよりは、怒られた方が断然マシだから。
 怒りから人間関係を修復するのは、難しいどころかむしろ簡単だが、悲しみから人間関係を修復するのは不可能に近い。
「お、お前と言うヤツはっ!破廉恥!変態!色魔!変態!猿!獣!」
 選り取り緑の罵詈雑言。そんな罵声を飛ばされる俺を、先輩はただただ楽しそうな笑みを浮かべて見ていた。
「仕方ないんだ。な?」
「初めてだったんだぞ!私は!なのになのに……お前は二股などかけて……」
「悪かった。悪かった。ホントにすまない」
「謝って済む問題ではないっ!」
 俺はひたすら額を地面に付き許しを請う。
 というのか、それ以外に方法が見つかられないのだ。
「かおるちゃん?そんなに怒ったって仕方ないんじゃない?」
「そうは言ってもですね、先輩。私は私は」
 いいからいいから、とかおるを宥め、先輩はかおるの耳元で何かを囁く。
 かおるの顔に見る見る笑顔が戻り、先輩と一緒にニヤニヤとこちらを眺めている。
 何かよからぬ予感がする。とんでもなく。
「けいすけは悪いことをしたと思っているんだな?」
「そ、そりゃあもちろんでありますとも」
「つまり罪を償う気があるのだな?」
「当然であります」
「罪を償うことは、罰を受けること。違うか?」
 ギロリ、とかおるは俺を睨み付ける。
 有無を言わせぬ様子に、俺はただただ頷くしかなかった
「そうでありますとも!」
「先輩、そういうわけです。この者に罰を」
「は~い。じゃあ、今すぐけいすけ君服全部脱いじゃって」
 いつも以上に天使のように美しい先輩の笑みが恐ろしい。
 そして、いつも以上に何を考えているのかが読めない。
「……こ、ここでですか?」
「うんうん。当たり前でしょ?何だったら校庭でも良いけど?」
「いえいえ、ここで脱がせていただきます」
 俺はそそくさと、制服に手を掛けた。
 たしかに恥ずかしさはあるが、ここで躊躇していても埒が空かない。



 校庭の喧噪が聞こえる。
 屋上から校庭を見下ろせば、サッカーを楽しむ者、バスケットに熱を出す者、未曾有の人々が不規則に休むことなく動き回っている。
 どこからか聞こえる、吹奏楽部の奏でる音色も心地よい。
 今は昼休みである。生徒のほとんどが、自由を謳歌する夢の時間。
 そんな夢の時間に俺は全裸で屋上に立たされている。
「隠しちゃ駄目だよ。ほらほらぁ、しっかり先輩に見せて」
 股間に直に当たる風の感触。
 普段はこんな明るみで見ることもない自分自身の裸体。
 すべてが非日常的すぎて、俺はもうどうしようもなく勃起していた。
「くっ、まったくこんな所で裸になって勃起するとは……お前もどうしようもない変態だな」
 そういうかおるは、口こそ窘めてはいるものの、うっすらと笑みを浮かべている。
「本当に変態さんだね、けいすけ君は」
 もはや反論する術はない。俺がどう言おうとも、身体が正直に反応してしまっているのだ。
「で、先輩これからどうするんです」
「けいすけ君はジッとしてればいいの」
 そう言って、先輩は俺に近づいてくる。
 そして、屋上のアスファルトに跪く。
「あの?先輩?」
 俺の股間の目の前に先輩の顔。
「かおるちゃんが、けいすけ君のおちんちんが恋しいって言うから」
「い、言ってません!」
「ふふぅ、素直じゃ無いなぁ、かおるちゃんも。私が提案したらすごく喜んでたくせに」
「それは……その」
 かおるはもじもじと顔を俯かせる。
 どうやら返す言葉がないらしい。
「ほらほら、早く来ないと私が独り占めしちゃうよ?」
「ああ、駄目ですっ!」
 美少女二人が俺の股間の前に大集合。
 もしかして、いやもしかしてでもなく、これは罰でもなければほとんどご褒美ではないだろうか。
「あふぅ」
 先輩の舌がペニスの裏筋を舐め上げていく。 たったそれだけの事で、俺は声を出さずにはいられなくなる。
「ふうぁ」
 今度はかおるが、先端に軽く触れるようなキスをする。恐る恐るという感じなのは、彼女が不慣れなせいだろう。
 そして、ゆっくりと先端の鈴割れにそうように舌を這わせる。
「案外、上手なんだね、かおるちゃん」
「え?まあ、はい」
 褒められたことが照れくさいのか、かおるはそっと目を伏せる。
 隆々とそそり立つ股間を前にして上気する彼女の顔は、いつにもまして艶っぽい。
「私にも舐めさせて」
 先端を左右に分けて、先輩とかおるが舌を這わせていく。
 そのたびに雷のように激しい快感が押し寄せてくるのがわかる。
「くぅ……ふぅっ!」
 突然、先輩がかおるの領地にふみいり、尿道口へと舌を滑り込ませる。くすぐったいような快感が、行き場を失ったみたいに身体を駆けめぐっていくのがわかる。
 かおるはと言うと、示し合わせたかのだろうか。先輩と上手く役割分担をするかのように、今度はペニスを横にくわえ出す。
 それはそれで快感を助長し、何度も倒れそうな恍惚感を俺は味わった。
「はぅ!」
 ずほりすぼりと、先輩の口がペニスを飲み込んでいく。温かい先輩の口内にくわえられると、これ以上ないくらいの射精感が込み上げてくる。
「もうっ!出てしまいます!先輩」
 そんな声にかかわらず、先輩は口を上下に動かしていく。
 時々先端を刺激する舌先が、頭がくらくらするほどの快感を与えてくる。
 これは口の中に出していうことだろうか。
「出しますよ!」
 一応断っておいて、俺は思う存分先輩の中で果てた。



「先輩だけずるいです。私もけいすけの飲みたかった」
「別に減る物じゃないんだから、ね?もっかいやれば」
「いや、減りますって」
 だが、彼女たちは俺の言葉にはお構いなしのようだ。
 また同じように俺の股間の前に座り、出し切って萎んでいるそれを手のひらで包み込む。
「まだまだ終わらないぞ?」
「恐い恐い。二股の罪は恐いねぇ」
 俺は遮るモノのない空を見上げ、微笑んだ。
 もし空に天国があり、そこに神様がいるのなら一晩で読み切れないほどの量の感謝の手紙を書いてあげたい。
 上手く行き過ぎている。二股を掛けたのに、嫌われもせずこうして快感を味わってすらいる。ありえない。どこのエロゲだ。
 こうまで上手く行っていて良いのだろうか。
 スポーツは絶好調、性交はやり放題、空は快晴。
 ああ、こんなに幸せで良いのだろうか。
 良いのだ。
 誰に言うでもなく、俺は呟いた。
 幸せな時に幸せを考えることほど、馬鹿らしいことはない。

| 小説(長編) | 21:36 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

≫ EDIT

ある陸上部員の性渇 一章『快走』②

 涼しげな初夏の夜気が、火照った身体を冷ましてくれる。
 大きく深呼吸し、空を見上げる。すると、雲一つ無い空に満月がぽつりと輝いていた。
 東京は星が見えない。こうして空にあるのは月だけだ。
 それでも月が見えるだけまだ良いのだろう。スモッグで見えない日だって、少なくはないのだから。
「ん?」
 軽い感傷に浸りながら通りを歩いていると、ふと目が止まった。
 通り沿いの店の中にかおるがいるのである。
 何の店だ、と思い看板を見れば何て事はない、おもちゃ屋だった。
 どうせこの後家に帰っても、妹が昨夜の祝勝会の続きをするだけだ。せっかくなので、声を掛けてみることにした。
 店に入り、かおるの真後ろに立つ。店員が怪訝な目が少しばかり痛い。
 しかし、知り合いに声を掛けるだけなのだから問題はないはずだ。
 そして、さり気なく何をしているのか覗き込んでみる。
 それは不思議な光景だった。かおるは、むにむにとぬいぐるみを愛でていたのだ。
 まったくもって不可思議である。女の子らしさの欠片もないかおるが、こんな女の子らしい物をいじっているだなんて。
「何してるんだ?」
 そんな何気ない俺の声に、かおるは弾かれるように振り返った。
「ど、どうしてお前がここにいる?」
 何やらとても慌てふためいている。
 かおるとしてもこういう光景を見られるのが、少しばかり恥ずかしいのだろう。
「質問を質問で返すな。で、どうしてぬいぐるみで遊んでるんだ」
「遊んでなんかいない!た、ただどれを買おうか迷ってたんだ」
 心外だ、とばかりにかおるは怒鳴る。大して変わらないような気がするのは、俺だけだろうか。
「ぬいぐるみ、好きなのか?」
「ふんっ、どうせ似合わないとでも言いたいのだろう?どうせ私は男勝りだからな」
 ぷいっ、と機嫌を損ねたのかそっぽを向く。
 俺はと言えば、ぬいぐるみを抱いて寝ているかおるを想像して思わず吹き出してしまった。
「な、何を笑ってる。失礼この上ないぞ、このっ!」
 手にしたぬいぐるみで、ぼかすか俺を殴る。
 もともとぬいぐるみは、柔らかい素材で出来ているから痛くはない。むしろ、そんなかおるの動作に笑みすら零れてしまう。
 いじらしいくらいに可愛い。
「ああ、もう何でさらににやけるんだ!もうっ」
「悪い悪い。ただあまりにギャップに笑ってしまった」
「ホントに失礼だな、けいすけは」
 ようやく殴るのをやめて、苛立たしげに腕を組む。
 なかなかご機嫌は斜めだ。ここらで少し機嫌を回復してあげなければ、後々めんどうである。
 そうして機嫌を直す材料を探していると、かおるの手にしているぬいぐるみに目が止まった。
 黄色の熊だ。ただ熊にしてはあまりに優顔過ぎるのが、個人的には気にくわない。身体も黄色なことだし、はちみつばかり食べて野生で生きいくだけの闘争本能を無くしてしまった哀れな熊なのだろうか。
 なんて、下らない空想を繰り広げながら、俺は思いついた。
 これをダシに機嫌を直そうと。
「でも、本当に可愛いな。このぬいぐるみ」
 むにゅにゅん、と熊の顔を撫でながら言う。
すると、計算通りかおるは軽く微笑んだ。おそろしく単純なやつである。
「そうだろ、そうだろ。これの良さがわかるだなんて、お前は相当な目利きだぞ」
 本当はそんなこと微塵も思ってないわけだが。
 もちろんそんな事は口にせず、俺は続ける。
「じゃあ買えばいいだろ?金がないのか?」
「いや実はな」
 と言って、かおるはぬいぐるみの棚からもう一つ引っ張り出してきた。
 今度は、けばけばしいばかりにオレンジ色の虎だった。
「これと迷ってるんだ。まあ、ほとんどこの熊の方に気持ちは寄っていたのだが。なあ、けいすけはどちらが良いと思う?」
「うむぅ」
 さっきも言ったとおり、熊の方はあまりに優顔過ぎて気にくわない。あれじゃあ野生はおろか、動物園の熊だって勤まりはしない、とさえ思う。
 だが、虎も虎なのだ。けばけばしいオレンジは百歩譲って許そう。しかし、顔があまりに陽気すぎる。あんな気の抜けた陽気さで渡っていけるほど、インドの森は甘くない。
 しばらく考えてから、この長考がいかに無駄であるかに気が付いた。ぬいぐるみにリアリティを求めてどうするのだろう。そんなことを言い出したら、テディベアはとっくに廃業だ。
「うーん、熊の方かな」
 特に考えもなしに言うと、かおるは良しとばかりに頷いた。
「じゃあ、こっちをけいすけにやろう」
 意味がわからない。
 この話の流れで、どうして俺へのプレゼントになるのだろう。
「えーと、何で俺にそれをくれるんだ?」
「真剣に迷うけいすけの顔を見ていたら、何だか心が動かされてな。お前のぬいぐるみへの愛を見て、私はこれを買う資格がないことに気が付いたんだ」
 やれやれ、と良いことをした時独特のやってやった笑いを浮かべる。
 きっとかおるなりの読心術だったのだろう。
 しかし
「いらないぞ。そもそも俺は買う金がない」
「私が払う。国体出場記念だ」
 な、と満面の笑みで微笑まれては断るにも断れない。
 まったく容姿の良さとは便利なものだ。
「ありがとう。マジすっげー感謝」
 棒読みで言ったことなど意に介さず、かおるはレジへと向かっていった。
 今まで一向に気が付かなかったが、どうやら彼女はかなりの天然らしい。



「ただいま」
 玄関の扉を開け、階段を上っていく。
 俺の家は二階建て。土地は都会の一般的な一戸建ての大きさで、一階はリビング、キッチン、バストイレ、洗面所、両親の部屋という間取りになっている。
 そして、二階部分には俺と妹かなの部屋が二つ宛われている。
 とは言うものの、かなは自分の部屋を使うことはあまりない。極度のブラコンなのだ。
 だから、困ったことに。
 俺はゆっくり自室のドアを開いた。
「あ、お兄ちゃんおかえり」
 平然とかなは俺のベッドに横たわり、漫画を読んでいた。
「……いつからお前と俺の部屋は共有になったのだろう」
「それにしても、昨日のお兄ちゃん格好良かったなぁ。これでこそ、かなのお兄ちゃんだよぉ。東京で一番速いんだもん。お兄ちゃんすごいよ!」
「聞いちゃいねぇし……」
 かなは昨日からソレばっかりだ。
 たしかに自分で言うのも何だが、昨日の俺の走りは素晴らしかった。十点満点だったら文句なしの十点だし、俺と何ら関係のない一般人が見ても感嘆を隠せなかったほどに、心を打つものでもあったと思う。
 それが兄とあれば、喜びも一塩。その気持ちはわからなくはない。が、さすがにこうずっと言われ続けるのは疲れてしまう。
 もちろん喜びがないかと言えば、嘘なんだが。
「ねえ、お兄ちゃん。今日はお兄ちゃんの部屋で寝ていい?」
 漫画本をわきに寄せて、ベッドの上でかなは俺の方へと体を向ける。
 くりくりとした愛らしい目に、幼さのためにふっくらとした丸みを帯びた頬、すらりと長く伸びた美しい黒髪。兄の俺から見ても妹のかなは実に可愛らしい。
「ダメだ。かなももう一緒に寝るような年齢じゃないだろ」
 これは『兄離れ』政策の一環だ。小学五年生にまでなって兄と寝ているのは世間から見れば、いささか異常である。
 小学五年生といえばそろそろ兄を男、自分を女と認識しなければならない年頃なのだ。少し寂しい気もするが、これも仕方がない。
「えー、だってお兄ちゃん。お風呂も一緒に入ってくれないよ?最近冷たいよぉ」
「普通はもうかなくらいの年になったらな。お兄ちゃんと寝たりしないし、お風呂も一緒に入らないんだよ」
「そんなのおかしいよ。よそはよそ、うちはうちだもん」
 むう、とかなは頬を膨らませる。
「普通こういうのは妹から言い出すもんじゃないのか……」
「言い出さないんだからいいの!ねえねえ、一緒に寝てよー」
「とは言ってもなぁ……」
 考えてみれば、かなが小学五年だからというのが問題だけではない。高二にもなって妹と風呂に入ったり、同じ布団で寝たりする俺の問題でもあるのだ。
「どうしてもダメ?」
「ダメだ」
 きっぱりと言い切ると、かなは思い切り肩を落とした。これ以上言い張っても、無駄であることをそれとなく悟ったのだろう。
 そんなしゅん、としたかなの様子を見ていると、まるで何か自分が悪いことをしたように思えてしまう。
 当然の事を言って、当然の要求をしただけなのに……
 妹の悲しい顔を見ていて喜ぶ兄なんていやしない。できればいつでも笑っていて欲しいと、俺は常々そう思っている。
「あ」
 一つ思いついたことがある。
 根本的な解決にはならないが、とりあえず妹の笑顔が見られるもの。実に運の良いことに、俺は今ソレを持っていた。
 すぐにカバンを漁りソレを探しだす。ほどなくして、俺の指が柔らかな物体をとらえた。
「今日から、これを俺だと思って寝ろ」
 ずい、とかなに熊を差し出す。無論、これは先ほどかおるが買ってくれた物である。
 まさかこんな使用用途があるとは思いもしなかった。改めて彼女には礼を言わなければならない。心の中で。さすがに面と向かって言える勇気を、俺は持ち合わせていない。
「……」
 かなはきょとんとした顔で、優顔の熊を見つめている。
「くれるの?」
「ああ」
 すぐに顔を綻ばせる。どうやら気に入ってくれたらしい。
「ありがとう、お兄ちゃん。でも、ホントにもらっていいの?」
 と言いつつ、目を離さないところからして本当に気に入ってしまっているのだろう。
「いいぞ。その代わり大事にするんだぞ」
「うん!大事にする、一生大事にするよ」
 ぎゅっ、と抱き締めてかなは本当に満足そうに微笑んだ。
「だからと言ってはなんだが、俺がかなと一緒に寝なくなることを許してくれ」
 すぐに笑顔を強張らせて、かなは怪訝な顔をする。
「今日の所はだよ?この先ずっとお兄ちゃんと眠れないなんて悲しいもん。だってだって、突然すぎるもん。もっと少しずつかなと寝る日を減らすとか、そういう風にしてよ。そうしないと、かな不安になっちゃうよ……お兄ちゃんがかなの事、嫌いになったんじゃないか、って」
 言葉尻が涙で滲む。
 たしかに考えてみれば急すぎたのだ。一週間かそこらで『兄離れ』をさせようだなんて。
「わかったよ。そうだな、1週間に1回でどうだ?」
「それは少な過ぎるよぉ。ほぼ毎日一緒に寝てたんだよ?お風呂だって2日に1回くらい一緒に入ってたのに……」
 またじわり、と涙を滲ませる。透き通るほどに澄んだ瞳に俺自身が写る。
 嫌が応にもかなを泣かせているのは、自分自身だと知らされる。
 これでいて、本人はまったくもって自覚がないのだから凶悪である。
「わかった週2な」
「各週2だよね?」
「いや、風呂はもう止めよう。さすがに、そのお互いの身体を意識し始める年頃では……」
 そんな俺の言葉に、かなはただ?マークを浮かべるだけ。
 理解できていないのか。まだ小五くらいだとそういうのは意識し始めないのだろうか?
「んー意識って?」
「だから、その……」
 何と言えばよいのだろう。
 『お兄ちゃんのおちんちん見てどう思う?』 という質問はあまりにも卑猥すぎる。
 というのか、間違いなく兄妹間で交わされてはいけない会話だ。断じていけない。
「いや、いい。何にも思わないなら良い」
「良くないよー。すごい気になるもん」
 純粋な好奇心。
 これを無下にはね除けるのは気が引ける。
「だから、かなは恥ずかしくないのか、ってこと」
「恥ずかしい?何を恥ずかしがるの?」
「……裸を見られたりするのって、恥ずかしいことだろ」
「お兄ちゃんはかなに見られるの恥ずかしいの?」
「え?んな事はないけどさ……」
「だったらかなもないよ。ううん、恥ずかしいどころか楽しいよ。お兄ちゃんとお風呂入ると、何だか、何だかね、胸がキュンってなるの」
 胸キュン。
 何とも甘酸っぱい言葉の響き。甘酸っぱいがどこか危険な響き。
 そういう意味ととらえてしまって良いのだろうか。
「……見られるのが、楽しいのか?」
「え?」
 かなは一瞬、面食らったような顔をする。
 そして、もじもじとこちらを伺うようなそぶりを見せながら、小さく口を開いた。
「……そうかもしれない。お兄ちゃんにそういうとこ、見られるのが好きなのかも」
 きっとかなは自分のその感情を、未だにうまく理解できていないのだろう。
 ただ何となく好き、気持ちいい、楽しい。 それが彼女の幼いなりの性欲なのかもしれない。
「ねぇ、お兄ちゃんはかなの裸見てどう思うの?」
 どう思うなどと聞かれても困ってしまう。
 どうも思わないに決まっている。どうか思う兄がこの世にいるのなら、是非ともお目に掛かりたいものである。
「別に。ただ妹と風呂入ってると思うだけだ」
「そうなの?」
 少し驚いたような、残念そうな声でかなは言う。
「でも、かなはかなは……お兄ちゃんの裸を見るとドキドキするよ。その、おちんちんとか見ると特にドキドキするの」
 訴えるような目。必死に感情を吐露するような表情。
 俺の心にも起きてはいけない感情が、起きてきそうな気がしてしまう。
「……それを意識って言うんだぞ、かな」
 沸々と沸き上がる感情を、振り切るように言う。
 ダメだ、妹は妹なのだ。どんなに魅力的に見えても妹は妹なのだ。
「飯、行こうぜ」
 やり切れなくなってそう言うと、かなは素直に頷いた。

| 小説(長編) | 21:32 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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